シリーズ「OBを訪ねて」第17回は、商業施設デザイナーであり、長年にわたりbisen本校で講師を勤めている、4期ディスプレイ科卒業の宮前和生さんを紹介いたします。

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この日は、2014年2月5日から開催中だった卒業制作展(同時開催・OB作品展)会場の札幌市民ギャラリーでお話を伺いました。





l 仕事内容






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主に商業施設のデザイン設計を専門とする、株式会社スーパーブロックの代表取締役。
依頼があれば、一般住宅やマンション等のデザインも手掛ける。

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宮前さんの建築施工例。こちらは小樽市にあるアパレル店舗。

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札幌市内にあるレンタルライブハウス

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札幌市内にあるレンタルパーティールーム

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札幌市内にあるレンタルルーム。キッチンもあり、料理教室を開くのに最適!


また、bisen本校の環境デザイン学科・インテリアデザイン専攻/インテリアコーディネーション専攻の講師。






l 卒業後の経歴






卒業後、株式会社丹青社・札幌支店に入社。丹青社は、商業施設・公共施設の設計・施工を行う、日本のディスプレイ業界の大手。北海道開拓記念館の工事や、1972年の冬季札幌オリンピック開催の際には、地下街などにおける商業施設の設計や工事を手掛けている。

宮前さんは、その直後の会社が業績を伸ばし始める時期に、札幌出張所の設計室に勤務。アシスタントとして商業施設・文化施設・展博など多方面な分野の設計に携わる。

上司のディレクターや諸先輩からデザインに対する考え方やプロセスを学び、これが現在のデザイナーとして生きていく上で、大変貴重な道しるべとなったそうだ。

当時は仕事量が多いということもあったが、技術の未熟さから残業ばかりで、自宅で夕食をとるのは年に数回ほど。「この頃は仕事しかしていなかった」と本人は語る。

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「ついていくのに必死でした。しかし、給料をもらって育てていただいた訳ですから、今でも感謝の言葉しかありません。在職中に何度か博覧会のデザイン担当をする機会がありましたが、bisen在校中の研修旅行が大阪万国博覧会でしたので、その時の経験を生かすことができました。」

「また、当時は今のようにコンピューターが無く、図面は手描きでしたから、必修で習ったレタリングやデッサンの技術も役に立ちました。(インテリアデザインには必要な技術でした。)会社に入ってから、学校の有り難みがわかりましたよ。」



残業も多く、仕事一筋に打ち込んでいた当時の宮前さんですが、社員同士が「同じ釜の飯を食う」という連帯感がとても重要だということがわかったそうです。
そして、独立する1年程前は別の会社で営業・設計・監理の業務を勉強。その後、30歳を過ぎて独立を果たす。


「自分で一から作り上げる事は大変でしたが、努力すれば良い評価をいただけるという喜びも味わうことができました。」


独立して間もなく、本校の環境デザイン学科・インテリアデザイン専攻/インテリアコーディネーション専攻の講師として招かれ、30年以上に渡り勤め続けている。(2014年現在)


「bisen生の皆さんとは、講師としての思い出もたくさん有りますが、卒業しても仕事で会うこともあります。」

「今回のOB作品展に出展した物件では、偶然にもbisen卒業生が内装管理室に勤務していて、図面や工事の打ち合わせを一緒にしました。内監はデザインの指針ですから、私が教え子から図面チェックを受ける立場になったというのは嬉しかったですね。それから、現場工事をお願いした会社の方から、2人のbisen卒業生が勤めているという話も聞きました。同じ施設の別の現場でも、bisen卒業生にばったり会うことができて、とても想い出深い仕事となりました。」
 





l 仕事で大切にしていること






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「まずは、相手(クライアント)の話を聴き、要望を理解することです。」

「設計は、立地環境・経済の動向・デザインの流れ・市場のニーズ等をできる限り把握するところからスタートします。それらを整理し、コンセプトを組み立てるところで全体の6〜7割。そこから自分のつくりたいイメージを展開して、エスキス(設計における下書きやスケッチのこと)を描く。だから、早い段階での図面やパースの提出ということはほとんどありません。客観性とオリジナル性のバランスをどう取るかが毎回の課題です。」

「もう一つ、時間配分も大切だと思っています。私の場合、良いコンセプトを練るための適切な時間があると考えています。時間が短すぎると何か物足りない感じがしますし、逆に長すぎると、欲が出過ぎて迷いが生じます。適切な時間内で仕事を進めることが、理想的で素直な考えを表現できるような気がします。」





l 今後のVision





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「ITが主流の時代となり、新しいコンピューター用語が飛び交っていますが、私も何とかこの流れに対応していきたいと思っています。また、これからは自分の時間も増えてきますので、写真や絵画を習いながら、のんびりとスケッチ旅行に行きたいなとも思っています。」





l 学生、後輩に向けてのメッセージ





今回の取材場所は卒業制作展の会場でしたので、2013年度に卒業する皆さんへ向けてのメッセージです。

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「卒業制作展の会場には卒業を迎える学生の皆さんが、約6か月間をかけて制作した大作が展示してあります。皆さんは今が一番充実していることでしょう。これから就職して、自分の夢に向かっていくにあたり、社会人になっても、この作品をつくった時の気持ちを忘れずに、一日一日をしっかりと掴み取ってほしいですね。」


「そして、これは私が独立した頃の話ですが、とても良くしていただいていたクライアントから、“1週間後、1か月後、1年後が、今日と全く同じでは楽しくないでしょう?”と言われたことがあります。」

「今と未来が変わらなければ、それは本当に楽しくないと思います。 “その日をわくわくして迎えられるように、毎日、鉄砲の弾を何発か打ちなさい”とも教えられました。」

「また、会社に入ると仕事で忙しくなると思いますが、将来のために1日5分でも10分でもいいので、自分の時間を持つことが大事だと思います。」





l 座右の銘






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最後は恒例、直筆のお言葉を頂戴します!

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ご自身の作品の前で一枚!Σ[ ◎ ]}ω・○)パシャ!


「丹精込めて」

「丹精」は、同じ音(たんせい)の「丹青」にも通じ、最初に勤めた会社の社名にも使われている言葉。

「丹青」とは、中国に由来する語で、赤(丹)・青の基本的な2色から“豊かな色彩”を示し、転じて絵画や画家、絵を描くことを広く指す。唐の詩人・杜甫の七言古詩の一節。

今も心に残るいい言葉だと思っています。



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所在地

株式会社スーパーブロック

札幌市北区新川5条16丁目5-23
電話 011-764-7348


取材記事写真 菅原25期  構成 齊藤33期